三菱自動車が今回の燃費データを不正に改ざんしていたことが発覚しました。
対象となるのは平成25年6月以降に生産した三菱自動車の「eKワゴン」と「eKスペース」、日産自動車向けの「デイズ」と「デイズルークス」です。これらの車種のうち、三菱自動車が販売したのは15万7000台、日産向けに生産したのは46万8000台で、合わせて62万5000台にも上ります。三菱自動車からの発表によると、これらの車の燃費を5%から10%、偽装していました。
そして、三菱自動車は、25年前の1991年から法令に定められたものとは異なる方法で計測していたと発表しています。具体的には、燃費を測定するときに使用する「走行抵抗」の値を実際よりも小さくすることで、燃費の測定値が実際よりも良くなるようにしていたため、「走行抵抗」の測定方法自体も、国内向けでは「惰行法」という別の方法で走行抵抗を測定することになっているので、「高速惰行法」という米国向けの手法が採られており、この行為自体が法令違反となります。
また、今回問題となっている車以外でも判明しており、2002年以降に発売された車種では「ミラージュ」「デリカD:5」、「アウトランダーPHEV」以外の車種はすべて国内法規とは異なる方法で測定した走行抵抗が燃費の算出に使われていた。よって、今回の問題も現在発表されている4車種に特定されることなく、今後さらに広がる可能性があります。
今現在発表されている4車種について、「eKワゴン」と日産自動車向けに生産した「デイズ」は1リットル当たり30.4キロと公表されている値が、実際には28.88キロ?27.36キロに下がる計算になります。
また、「eKスペース」と、日産向けに生産した「デイズルークス」は1リットル当たり26.2キロと公表されている値が、実際には24.89キロ?23.58キロに下がる計算になります。こうした不正は、日産側からの指摘を受けて判明しました。対象車はいずれも燃費の良さを購買促進文句にしていたところがあり、販売業者も低燃費を売りにして販売しており、購入者も燃費を理由に購入した人が多いです。
三菱自動車から発表された偽装と実際の購入者の燃費にも差異がありますので、その差額を請求できます。
ガソリン代は?
対象車「デイズ」発表の通り廃車までの走行距離を10万キロとし、その場合のガソリン代を計算してみることにします。
1リットル当たりが30.4キロ、ガソリン価格を一律120円とすると、10万キロを走行するのに必要なガソリンは、3289リットルです。以上から10万キロを走る車のガソリン価格は394、680円になります。しかし、今回の偽装問題発覚により実際は1リットル27.36キロであったので、同じ計算を基にすると10万キロを走る車のガソリン代は438、480円になります。その差額は43、800円に上ります。
ガソリン代はその性質上価格が推移するものであり、問題となっている車種の販売が2013年6月以降であること、その期間内にガソリン価格が一時期160円まで上がっていることから上記の差額も比例して高くなることになります。
対象車の中古車としての価値はどうなる?
今回の問題により、現在中古車買い取り業者の間では、対象車の買い取り拒否を行っている業者もあります。また、対象車の中古売り価格もまた40万円~50万円で相場より大きく下落しています。
不正のあった車の顧客に対する三菱自動車側の対応は?
①三菱自動車では、偽装された燃費によるガソリン代と実際の燃費によるガソリン代の差額
②中古車として販売する際の価値下落額
を賠償することを検討しているとしています。
エコカー減税の取り扱いについては?
新車の購入時に燃費に応じて、国税の自動車重量税や地方税の自動車所得税が軽減されるエコカー減税などの取り扱いも焦点となっています。購入者が実際よりも多く減税を受けた額を国に納付するよう、国から三菱自動車から各地方に対して直接差額を振り込んでもらうよう要請するくらいのことはあり得ます。