2020.4.14 未分類
頸椎捻挫事案でよくある相談
事例1.追突されて頸椎捻挫になりました。初診は整形外科に行きましたが勤務時間の関係上それ 以後は接骨院に通っていますが問題はないでしょうか?
回答:整形外科には少なくとも1週間に一度は通院してください。もし後遺障害が残った場合には整形外科 の医師は途中の経過が分からないので後遺障害の診断書が書けないと言われる恐れがあります。
また、加害者側の保険会社から接骨院の治療ばかりしていると症状が軽いと判断されて途中で一括払 いを打ち切られる恐れがあります。
そして、接骨院ではレントゲン、МRIが撮れません、診断書も書けません。
整形外科に行けないときに、補助的に接骨院に行ってください。
事例2.頸椎捻挫で頸部痛と右手のしびれがあり治療を続けていましたが、保険会社より今月末で 6カ月となるので症状固定として後遺障害の診断書を主治医に書いてもらうように言われました。 後遺障害診断書など初めてなのでどのようなことを医師に書いてもらえばよいか分かりません。
回答:頸椎捻挫の場合の後遺障害診断書には基本的には。
自覚症状欄には:頸部痛、右手のしびれ等現在の症状を書いてもらってください。
他覚的所見欄には
- ①神経学的検査:上肢の二頭筋腱反射、三頭筋腱反射、腕橈骨筋腱反射
- ②知覚検査:痛覚、触覚など
- ③握力
- ④上腕の徒手筋力検査
- ⑤レントゲン、МRIの画像所見
椎間板の狭小化、骨棘形成、椎間板の膨隆、脊柱管狭窄症等加齢変化を含めて反省変化があるかどう かを書いてもらってください。
- スパーリングテスト、ジャクソンテスト
上記について調べてもらって検査結果を書いてもらってください。
※分からない場合は弁護士にご相談してください。
事例3:私は頸椎捻挫で6カ月半治療しましたが、天気の悪い時や雨の日には頸部痛があり、 いつも首から背中にかけて強いコリと張りが残りましたので後遺障害診断書を書いて後遺障害 に申請をしたところ非該当の回答がきました。
9カ月たった今でも症状が変わりませんがどうして非該当になったのでしょうか。 また、異議申し立てをしたいと思っていますがどうしたらよいでしょうか。
回答:頸椎捻挫の場合は、「神経症状」が後遺障害に該当するかを判断します。
「コリ」や「張り」は神経症状ではありません。
神経症状は、「痛み」、「しびれ」、「知覚障害」です。
「痛み」は「常時痛」であることが必要です。
「・・・の時痛い」や「・・・をすると痛い」は常時痛とは言えません。
貴方が訴えておられる「天気が悪い時や雨の日に痛い」の訴えは常時痛と見なされないので非 該当になったと判断されます。
もしも、「普段の時も痛いが、天気の悪い時や雨の日は痛みが強くなる」状況であったのなら ば、主治医にそのことを話して後遺障害診断書を書き直してもらって、異議の申し立てをする 必要があると判断します。
事例4:私は昨年10月に追突され頸椎捻挫で通院をしていましたが、12月15日から年末も近づき仕 事が忙しくなり病院へ治療に行く時間がなく、年末・年始の休みがありやっと今年の1月20日 に病院に治療に行きました。
今年の2月の上旬に保険会社から連絡があり、治療中断期間が1カ月を超えているので 昨年の令和元年12月15日以後の治療は事故との因果関係が認められないので支払いが 出来ませんと言ってきました。当方の事情を話しましたが聞いてもらえませんでした。
弁護士に委任して交渉してもらいたいと思っています。
回答:現在の損害賠償の考え方として、頸椎捻挫の神経症状の治療の場合は
1カ月以上治療の中断があると事故との因果関係が否定され以後の治療費等の損害を認めません。 これは自賠責保険も同じ解釈です。自賠責に被害者請求しても昨年の12月15日以後の損害は 支払ってくれません。
治療の中断理由が仕事が忙しかったからとか連休が続いたからとかは合理的な理由にはなりません。
例えば、出産のため入院していたとか、ガンが発見され検査や治療のため入院していたとかの 合理的理由があれば別ですが。弁護士が交渉しても結果は同じになると判断されます。
事例5:私は交差点を直進中に対抗から右折してきた車に当てられ頸椎捻挫となり6カ月治療しま したが首の痛みが続き後遺障害診断書を書いてもらい申請したところ、15年前の事故で頸椎捻 挫で後遺障害14級認定されているので、後遺障害は加重されてなく非該当の通知が来ました。 15年前の頸椎捻挫の首の痛みは4~5年で消失しています。事故前は首の痛みは無くなってい ましたがそれでも過去の後遺障害が影響するのでしょうか。
回答:頸椎捻挫の14級の後遺障害の場合は3~5年で症状が消えると言われています。
しかし、自賠責保険の後遺障害は永久残存性を強く考えていますので、15年も前に頸椎捻挫 で14級が認定されていれば、それが永遠に続くと判断されています。
結論としましては、頸部の神経症状14級を過去に認定を受けていれば、後日の事故により再 度同じ部位の神経症状が残ったとしても改めて14級は認定され後遺障害の保険金の支払いは されません。但し、頸部の神経症状が12級と認定された場合には、既往障害の14級の保険 金額を控除して支払われます。尚、頸椎捻挫の神経症状12級が認められるのは他覚的所見と 訴えの症状が一致していることが医学的に証明できる場合であり、頸椎捻挫の後遺障害等級認 定された100例の内2~3例しかありません。ほとんどが14級の認定です。
事例6:私は追突事故に遭い頸椎捻挫で頸部痛と左手指のしびれがあり整形外科で治療を続けて いました。ところが加害者の保険会社から治療が6カ月になるのでこれ以上治療費は支払はないと 言われ治療費の支払いを打ち切られました。そして、症状固定として後遺障害の診断書を提出する ように言われました。
私は、頸部痛と左手のしびれが続き家事に支障をきたしているのに一方的に治療費の支 払いを打ち切られたことに納得できません。
今後も治療を続けたいのですがどうしたらよいか悩んでおります。
回答:損害保険会社の治療費等の一括払いは、被害者の方が治療のたびに治療費を支払うのが面倒で あるため、保険会社のサービスとして被害者に代わって治療費を直接病院に支払っています。
この一括払制度は保険会社の約款で決められた義務ではありませんので、保険会社の判断で一 括払いを打ち切ることができます。頸椎捻挫などの場合は、交通事故の損害賠償においては一 般的に6カ月程度が症状固定の目途とされています。
保険会社の考えは、6カ月治療して治らないのであれば、その時点で残っている症状が後遺障 害であると判断しています。そのため、保険会社は貴女に6カ月で治療を打切って症状固定と して後遺障害診断書の作成を言ってきたのです。
どうしても治療が続ける必要があるならば、貴女が治療費を自己負担して治療を続けるしかあ りません。そして、治療を打ち切った日までの自己負担した治療費を保険会社に請求すること になりますが、保険会社が払ってくれなかったら、最終的には裁判で争うしかありません。
事例7:交差点で右折しようとして停車中に後続の車に追突され頸椎捻挫で頸部痛と背中の痛みが続 き約6カ月治療して症状固定として後遺障害診断書を書いてもらい申請しましたが非該当となりま した。私としては非該当に納得がいきません。異議を申し立てようと思っていますがどのようにし たらよいか分かりませんのでアドバイスをお願いします。
回答:異議を申し立てる場合に同じ書類を送っても結論は変わりません。
新しい医師の診断書、意見書など医師の新しい資料を加えて異議申し立てをする必要がありま す。どのような資料が必要かを判断するには、初診から症状固定までの診断書・診療報酬明細 書、後遺障害診断書、非該当の理由書、被害車両の写真と見積書が必要です。
以上の書類を持って弁護士に相談に来てください、詳しくアドバイスさせていただきます。
事例8:私は信号停止中に追突され頸椎捻挫を受傷して約6カ月治療して後遺障害診断書を作成 してもらい申請したところ14級が認定になりました。
保険会社から損害賠償額の提示がありましたが妥当な額かどうか分かりません。
弁護士費用特約に入っていませんが大丈夫でしょうか。
回答:損害賠償額の計算基準には、損害保険会社基準としイバン基準があります。
保険会社基準より裁判基準はかなり高いものです。
弁護士が交渉する場合は裁判基準でしますので、後遺障害が認定されている場合は弁護士費用 特約がなくて弁護士費用を払っても損害保険会社基準よりも被害者が受け取る金額は高くなり ますので、是非弁護士に相談して交渉を委任すれば賠償金が高額になると判断されます。
事例9:私は優先道路を車で走行中、右の狭路から出てきた車に衝突されて頸椎捻挫による頸部 痛で通院をしていました。4か月通院したところで、今度は交差点の青信号停止中に追 突されました。そのため頸部痛が強くなりました。
第一事故のA保険会社は第二事故の前日までで打ち切って示談してくれと言ってきました。そし て第二事故以後の治療費等は第二事故の加害者の加入しているB保険会社支払ってくれるからと も言われました。
私はどうすべき分かりませんのでアドバイスをお願いします。
回答:今回の事案は、第一事故で頸椎捻挫の頸部痛で治療中に第二事故で同じ部位を負傷したこと から異時共同不法行為の事故となります。
実務的には、第一事故については、第二事故の前日までを治療期間として損害額を計算し て第一事故のA保険会社と傷害部分についてだけ示談をします。後遺障害については未定な ので、示談の条件については「後遺障害が発生した場合には再度話し合いをする」などの文 言を入れておくことが必要です。
第二事故については、第二事故の初診日からB保険会社に治療費を一括払いしてもらいま す。症状固定になった時に、後遺障害の診断書の作成については初診日は第一事故の初診日 として、症状固定日は第二事故の症状固定日とする後遺障害診断書を主治医に作成してもら います、実通院日数も第一事故と第二事故の実通院日を合計した日数を書いて
もらいます。後遺障害診断書が出来たら、第二事故の自賠責保険会社に異時共同不法行為の 被害者請求をすることになります。被害者請求の後遺障害等級の結果が出てから、第二事 故のB保険会社と賠償金の交渉をします。
本件事故のような異時共同不法行為事案は手続きも保険会社との交渉も難しいので、是非弁 護士にご相談ください。
事例10:頸椎捻挫で頸部痛や手のしびれが残っているとき、後遺障害14級が認定されるのは どんな場合かを教えてください。
回答:頸椎捻挫の神経症状14級が認定される可能性が大きいケースについて以下に説明します。
- 治療期間が6カ月程度以上であること。
- 通院治療実日数が70日程度以上であること。
- 被害者の乗っていた車の損害が40万円程度以上(軽四、1500㏄の乗用車、高級車や外 車は除きます)。修理費が高いことは、被害者が身体に受けた衝撃も大きいと判断されま す。修理費が10~20万円では軽い衝突と判断されて、身体に受けた衝撃も軽く後遺障害 が残るほどの衝撃はなかったと判断される可能性があります。
- 頸部の痛みや手のしびれなどの症状が初診時より症状固定時まで一貫してあること。
事故日より7日以上経過して出た症状は事故との因果関係が認めがたい症状です。
- 頸部痛、手のしびれ、知覚障害などの神経症状が常時あることです。
「雨が降ると首が痛い」、「首を動かすと首が痛い」など「・・・の時痛い」、「・・・を すると痛い」は常時痛とは言えません。頸部レントゲン、МRIなどで、椎間板の著しい 狭小化、著しい骨棘形成、著しい椎間板の膨隆、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、後縦靭 帯骨化症などの頸部の加齢変化や変性変化が認められる場合。
そして、事故前は頸部痛などの症状が全くなかった場合。
このような頸部の変性変化が認められると、事故全は頸部に異常はなかったが事故を契機 として変性変化があったために頸部の痛みや手のしびれが発生したものと医学的に説明が 出来ると判断されて14級が認められる可能性が出てきます。
レントゲン、МRIで頸部に全く異常がない場合は、頸部痛、手のしびれの残存を説明す る根拠がないことから非該当となるケースが多いと判断される可能性が大です。
以上の6項目の要素か満たされた場合に後遺障害14級の認定可能性が大きくなります。