2020.1.15 未分類
事故車両の評価損
Q:私は交差点信号青で直進中,右方から信号無視で侵入してきた車と衝突して,私の車は
大破し修理費100万円かかるとのことです。
車の損傷状況は左前部のサイドメンバーが曲がっていると言われました。
デーラーのセールスマンに事故評価損が出ると言われました。
私は車を買って1年しかたっていませんので評価損を相手に請求したいのですが。
A:事故の損傷による車の評価損は,そもそも将来発生するかどうか不確実な損害です。
事故した車を転売する契約が成立していた場合などは損害の発生が確実となりますが,
事故車両を修理して10年程度使用して車を下取り車として買い替える時には事故によ
る格落ちは発生しません。
評価損が認められるには条件があります。
裁判では,「被害車両を買い替えたいことを社会通念上相当と認めるためには,フレー
ム等の車体の骨格部位に重大な損傷が認められること」と判示されています。
そのため,事故車の損傷部位・損傷の程度,車種(外車・国産車・乗用車・バン・トラ
ック),登録年収,走行距離などにより判断します。
1.評価損が認められる可能性が大きいケース
①国産車の場合
・車の損傷が骨格部位まで及んでいてその程度が大きいこと。
・登録年数が3年程度まであること。
・走行距離が4万キロ程度までであること。
②外車・国産の人気のあるハイグレード車
・車の損傷が骨格部位まで及んでいてその程度が大きいこと。
・登録年数が5年程度まであること。
・走行距離が6万キロ程度までであること。
2.評価損の金額
裁判例では修理費の30%~10%程度が大勢を占めています。
一般財団法人日本自動車査定協会の評価損の査定書やデーラーの評価損見積書は,
裁判では評価損の根拠が不明確な場合が多くそのまま認められることはほとんどあ
りません。
ただ,評価損を主張する一つの根拠にはなります。
ご質問の事例の場合,事故は相手の100%過失であること,登録年数が1年であ
ること,損傷がサイドメンバー(骨格部位)に及んでいること,修理費が100万円
であること等から評価損が認定される可能性は非常に高いと判断します。