2017.1.12 スタッフブログ
ドッグランでの争い
先日、我が家の犬を連れて初のドッグランに行ってまいりました。
初めて外でリードを外されてはじめは戸惑っていましたが、すぐにほかの犬と一緒に走り回っていました。
ドッグラン内を見渡してみると大型犬から小型犬まで犬種もさまざまで、けんかをしている犬やじゃれあっている犬がいました。
ところで…
ドッグランの中で自分の犬が他の人や他の犬にケガをさせてしまった場合、誰が治療費を負担するのでしょうか?
ペットは法律上「物」である「動産」として扱われます。
なので、自分の犬が他人の犬を傷つけた場合、他人の財産を壊した場合と同様に、その損害を賠償する義務を負います。
民法718条には
「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」
と規定されています。
したがって、飼い主が「相当の注意」を尽くしたと認められない限り、飼い主は相手の治療費を支払わなければなりません。
では、この「相当の注意」とはどの程度のものをいうのでしょうか?
たとえば、散歩中に犬をきちんとリードでつないでおかなかったり、飼い主がきちんとリードを握っていなかったりした場合には、飼い主は「相当の注意」を尽くしていなかったと言われてしまいます。
では、リードでつながずに犬を走らせることができるドッグランの中の場合はどうでしょうか?
実際に、ドッグラン内で走っていた飼い犬と人が衝突してケガをし、飼い主が治療費を請求される事件がありました。
裁判所はドッグランの特殊性を考慮して、以下のように述べました。
『本件は,犬が引き綱から解き放たれ,自由に走り回ることが許され,現に自由に走り回っているドッグラン内のフリー広場で発生したものであるから,被告が,犬の占有者として,通常払うべき注意義務は,引き綱を外すと制御が利かなくなるとか,引き綱を外す前に被告の飼い犬が興奮しているなどの特段の事情がなければ,引き綱を外し,犬が自由に走り回ることができる状態におけるものであることを前提としなければならない。
被告は,被告の飼い犬をドッグランの雰囲気になじませてから引き綱を外した後は,犬が興奮して制御が利かないような状態が発生しないよう,または,そのような事態が発生したり,事故が発生したとき,直ちに対応することができるように,犬を監視すれば足りるというべきである。』
裁判所はこのように述べて、この事件の飼い主は「相当の注意」を尽くしたので賠償義務を負わないと判断しました。
このように「相当の注意」の基準はその時と場合によって異なります。
ドッグランを利用する際には規約に従って飼い犬によく気を配るように心がけましょう。