離婚や相続など,家事調停が絡む分野に関する相談を受けていると,時々「調停はまず自分でやって,うまくいかなくなったら依頼したい」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
果たして調停は本当に自分自身のみでできるものでしょうか。
もちろん,制度上調停は弁護士を代理人につけなければならないわけではありません。
しかし,ただでさえ非日常である家庭裁判所の調停室において,初見の調停委員に対し,自身に有利なように主張立証を展開することは至難の業です。相手方に代理人弁護士がついていればなおさらのことですし,場合によっては調停委員が何とか調停を成立させようと当事者の一方(特に,代理人弁護士がついていないほう)を説得にかかる場合もあります。そこで妥協してしまい,取り返しがつかなくなると目も当てられません。
事実,私のところに相談にいらした方の中にも,自分で手続を進めてしまったばかりに,取り返しのつかない状況になっているというケースがあり,これから代理人が入っても結果は変わらないだろうとお断りしたことがありました。
協議を始める前に,調停に出向く前に,専門家に相談することが必須と思っておいたほうが無難です。