今回は少し遺産分割についてのお話をします。
平成28年12月29日に遺産分割について最高裁でとある決定が下されました。
それは、相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権はいずれも遺産分割の対象になる、というものです。
これだけ聞いてもどういうことかわからないという方が多いと思いますので、簡単に説明します。
これまで、相続財産のうち金銭債権については相続開始と同時に法定相続分に応じて分割されると解釈されていました。
すなわち、各相続人は単独で銀行に対して自分の法定相続分に応じた預金の払い戻しを求めることが可能だったのです。
ところが、今回の最高裁の決定により、遺産分割協議を経なければ各相続人が預金の払い戻しをすることができなくなったのです。
なんてことだ・・・とお思いになるかもしれませんが、実のところこれまでも銀行は遺産分割協議書がなければ払い戻してはくれないことがほとんどでした。
というのも、相続人全員の同意があれば金銭債権も遺産分割の対象にすることができたため、実際は法定相続分と異なる割合で金銭債権を分割することがあったからです。銀行としては、ある相続人に法定相続分を払い戻した後で遺産分割協議書をもって現れた他の相続人たちに,そいつはそんなに相続してないぞ!ふざけるなと責められる事態を避けたかったのです。
そうすると、今回の最高裁の決定が出たために実務が大きく変わって大変!ということはなく、むしろ現状に合った解釈がなされた、といった方がよいでしょう。