「地産地消」という言葉を、普段わたしたちが耳にすることも多いのではないでしょうか。
近年、食に関する消費者の関心の高まりなどを背景に、この運動を推進するための様々な取り組みも行われているようです。
こうした流れに沿うものとも言えるかもしれませんが、先日南魚沼市議会において、非常にユニークな条例案が可決されました。
「朝食にコシヒカリを」
朝食に地元産コシヒカリを食べることなどを盛り込んだ全5条から成る条例案であり、来月10日から施行されます。
コメの需要低迷や産地間競争の激化といった状況の下、地元を挙げて特産品のブランド力を守る目的で提案されたものです。
自治体が地域の特産品の生産を守る趣旨の条例を定めている例は散見されますが、こういった形で産品ブランドに特化して普及促進を謳った条例は、全国でも珍しいと言えるようです。
近頃では、自治体の首長みずから特産品の販路拡大などを目的に、海外に向けトップセールスを行う事例もあります。
イギリス・フランスにおける山梨県甲州ワインのPR活動、滋賀近江牛の販路拡大を目的としたシンガポールでの販促活動や堺刃物のアメリカでの市場開拓を見据えた各プロモーション活動など、その対象は、形ある生産品のみに限定されません。
国としては、TPP交渉参加も決まり、目下協定交渉が行われており、今後は各分野における国内生産品をはじめ、あらゆるサービスを対象とし、より高度な交易の自由化が図られることが予想されます。
地域ブランド力の向上と国際競争力の強化とは、表裏一体であるのかもしれません。
今回の条例案制定のような動きを受け、自治体と地域住民が一体となって、地域ブランド力ないし生産活動の向上に取り組むことで、今後の国際化の方向性に新たな道筋をつくることができるのかもしれません。