2019.7.31 未分類
「後遺障害異議申請書」の事例
XX損保株式会社御中
弁護士法人はるか
貴社より被害者C(以下,「被害者」という。)の後遺障害は非該当とされたが,当職は,被害者の後遺障害等級は別表第二第9級10号及び別表第二第10級2号に該当し,別表第二併合第8級の認定が妥当であると判断し,異議を申し立てる,別表第二併合第8級該当理由は下記の通りである。
1.貴社の高次脳機能障害の非該当理由として,「前記後遺障害診断書上,平成28年4月
20日および平成29年4月10日に撮影された頭部MRI所見について「脳挫傷を認
める」との記載が認められますが,提出の頭部画像上,受傷当初に外傷性くも膜下出血の
所見は認められるものの,当該出血は経時的に消失しており,脳挫傷痕や脳委縮の残存
等の明らかな脳損傷の所見は認められません。」と記載されています。
しかし,A病院甲医師記載の診断書(平成29年8月22日作成)では平成29年4月
10日に撮影されたMRIで「頭部MRIにて左側頭葉に6mmの脳挫傷が疑われる。」
と診断している。よって,脳挫傷痕の存在は否定出来ないものであると捉えられることか
ら,後遺障害については別表第二第9級10号と認定するのが妥当である。
2.次に複視の非該当理由として,「提出のヘススクリーンテストは,本件事故から約3カ
月後の平成28年10月5日までであることや,その後の検査結果として「眼障害につ
いての所見」(B眼科発行/平成29年1月20日付)上,「<2012.08.09>4
プリズム外斜視と8△の上下斜視があり」とされていますが,症状固定日(平成29年8
月7日)における所見は,「<2013.08.07>4プリズム外斜視と4△の上下斜
視があり」とされ,複視の症状は改善傾向にあることを踏まえれば,将来においても回復
が困難と見込まれる障害とは捉え難いことから,自賠責保険における後遺障害には該当
しないものと判断します。」とのことですが。
B眼科で平成29年12月19日検査した裸眼とプリズム眼鏡装用のヘススクリーン
テストでは,同日付の診断書記載のごとく,「プリズム眼鏡装用で,日常複視は気になら
ない状態に出来るが,プリズムなしでは複視あり」,「受傷後2年以上経過しており,
これ以上の改善は見込めないと考える。」と診断している。
また,平成30年3月6日付B眼科の医療照会回答書にても,「複視は症状固定の状態
である,裸眼にて正面視での複視である,ヘススクリーンテストで5度以上水平方向に離
れた位置にある」と回答している。
平成29年12月25日付の診断書で「平成28年8月9日 遠方視 4プリズム外斜
視+8プリズム上斜視,平成28年10月19日 遠方視 6プリズム外斜視+5プリ
ズム上斜視が残っている」とのことから斜視が残っている。
上記のB眼科で平成29年12月19日のヘススクリーンテスト,平成29年12月
19日付B眼科診断書,平成30年3月6日付B眼科の医療照会回答書等から,複視の症
状は改善傾向にはなく症状固定の状態であり,正面視で複視の症状を残している状態に
あること判断されることから,後遺障害別表第二第10級2号の認定が妥当である。
3.結論
以上から,被害者の高次脳機能障害の後遺障害等級は別表第二第9級10号に該当し
眼の障害は別表第二第10級2号に該当することから,別表第二併合第8級と認定する
のが妥当である。
以上