弁護士法人はるか|水戸法律事務所

離婚相談事例④

事例

相談前

私は5年前に不貞行為をしています。そのとき妻からは離婚を求められましたが,私は二度としないので許してほしいと謝り,妻に許してもらいました。その後は,浮気発覚前と同じように一緒に暮らし,食事は私が作るなどこれまでと変わらない生活をしてきました。

しかし,最近になり,仕事の付き合いでスナックやバーで飲んで帰ることが多くなり,夫婦関係があまりよくありません。そのような中,妻は5年前の浮気を理由に離婚を求めてきました。私は離婚したくないと考えていますが,5年前の夫の浮気を理由に離婚しなければならないのでしょうか。

相談後

民法770条1項には離婚が認められる場合の要件が規定されています。同条によれば,「配偶者に不貞があったとき」(1号),「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)に離婚が認められます。これらの要件に該当する場合に離婚が認められるのは,婚姻関係を修復することができないためです。そこで,5年前の配偶者の浮気が,「配偶者の不貞」や「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかが問題となります。

5年前,確かに浮気が発覚し,離婚を求められるほどに夫婦関係は一度悪くなったと思います。しかし,その後の生活で夫婦関係は改善し,浮気発覚前の状態に戻ったものと考えられます。

そのため,5年前の浮気によっても婚姻関係は破綻したとは言えず,「配偶者に不貞があったとき」(1号),「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)に直ちには当たらないと考えられます。

もっとも,過去に浮気をしたことは事実であるため,全く離婚原因がない場合よりは離婚が認められやすくなる要素であることは否定できません。

今後も婚姻関係の継続を希望されるのであれば,現在の夫婦関係があまりよくないことに鑑みても,早めに夫婦関係の修復を図ることが大切です。

 

担当弁護士コメント

夫婦関係が悪化する理由は様々あります。一つの事情だけでは離婚原因にならなくても,多くの事情が積み重なって「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)に該当し,離婚が認められる場合もあります。互いの気持ちが離れてしまっている中で結婚生活を続けるのは精神的にも大変ですので,夫婦でよく話し合い,納得できる形で前に進むことが大切です。