2021.2.4 破産
破産が有効な場合とは?個人再生・任意整理との比較
破産は、数ある債務整理手続きの中でも、問題の抜本的解決に繋がるもっとも強力な手続きです。
その反面、破産には大きなデメリットも存在するので、個人再生・任意整理と比較しつつ、ご自身の状況に適した債務整理手法を選択することが大切になります。
この記事では、個人再生・任意整理との比較を踏まえたうえで、破産が有効となるのはどのような場合であるかについて解説します。
1. 破産のメリットは?
1. 破産のメリットは?
個人再生・任意整理と比較した場合に、債務者にとってメリットとなる破産の特徴としては、以下のものが挙げられます。
1-1. 債務が全額免除される
破産の最大の特徴は、最終的に債務の全額が免除される点にあります。
個人再生の場合、債務の総額に応じて最低弁済額が設定されています。
(5分の1~10分の1、100万円未満の場合は減額なし)
任意整理の場合、利息のみのカットとなる場合が多く、元本を大きくカットしてもらえることは稀です。
これに対して破産の場合は、破産手続によって強制的に債務の全額免除が実現するので、債務問題を抜本的に解決したうえで新たなスタートを切ることができるメリットがあります。
ただし、
・税金など免責の対象外となる債務がある
・財産隠しや浪費・賭博などで借金を作った場合には免責が認められないことがある
など、免責に関する注意事項がいくつかあるので、詳しくは弁護士にご相談ください。
1-2. 債権者の同意が不要
債務の免責について債権者の同意が不要である点も、破産の大きなメリットの一つです。
個人再生の場合、債権者集会による再生計画の決議が必要となるため、債権者の過半数(頭数・債権額の両方)の同意を得なければなりません。
任意整理の場合、債務カットなどについて、債権者の個別の同意を得る必要があります。
これに対して、破産には債権者の同意が不要なので、債権者多数・債務が高額のケースでも、破産手続きによる債務整理が可能となるメリットがあります。
2. 破産のデメリットは?
逆に、個人再生・任意整理との比較において、債務者にとっての破産のデメリットは以下のとおりです。
2-1. 所有財産が処分されてしまう
破産免責を行う前提として、破産手続開始時点において債務者が所有する財産は、原則としてすべて換価処分され、債権者に対して配当されます。
個人再生では、担保権が付着した財産以外は処分の対象になりません(また、自宅の土地建物についても、処分の対象から除外できる制度があります)。
任意整理の場合も、通常は債務者の財産を処分する必要はありません。
これに対して破産の場合、車・自宅の土地建物・高額の家財などを手元に残しておくことはできませんので、処分されたくない財産がある場合には注意が必要です(なお例外的に、99万円以下の現金などの一部の財産は、破産手続による換価処分・配当の対象外とされています)。
2-2. 対外的な信用を失ってしまう
破産をした場合、破産手続開始決定の事実が官報に掲載されるので、その事実が第三者に伝わってしまう可能性があります。
また、破産の事実は信用情報機関のブラックリスト(事故情報)に掲載されるので、その後5年~10年の間、新規ローンの借り入れやクレジットカードの作成などが事実上不可能になります。
官報掲載については、個人再生の場合は破産同様に行われる一方、任意整理の場合は行われません。
したがって、官報掲載を避けたい場合には、任意整理を検討すると良いでしょう。
これに対して信用情報機関のブラックリスト掲載は、個人再生・任意整理の場合についても行われるので、債務整理共通の注意事項として認識しておいてください。
3. こんな場合には破産を選択すべき
上記で解説した破産のメリット・デメリットを踏まえると、以下の場合には破産を選択した方が良いケースが多いと考えられます。
3-1. あちこちから借金をしている場合
債権者が多数の場合、債務整理について債権者の同意を得るには非常に手間がかかります。
また、多重債務状態の場合には、債権者に対する弁済・配当がほとんどできないケースも多いため、債権者の同意を得ること自体がそもそも困難です。
この場合には、債権者の同意が不要である破産手続を利用して、債務問題を抜本的に解決することが望ましいでしょう。
3-2. 収入が不安定・不足している場合
個人再生と任意整理は、手続き終了後も計画的に債務の弁済を続けていくことを前提としています。
しかし、今後も安定した収入が見込めない場合には、計画弁済をスケジュールどおり進めていくことは困難です。
収入が不安定な場合や、絶対的に不足している場合などには、破産によって債務の全額免除を受け、家計を立て直した方が良いでしょう。
3-3. 手元に価値のある資産がない場合
破産の最大のデメリットは、手元にある資産が処分されてしまうことです。
しかし、手元に価値のある資産が特にない場合には、このデメリットは実質無効化されます。
マイホームや車などの価値ある資産を所有していない場合には、破産のメリットがデメリットを大きく上回るため、破産手続の利用を積極的に検討することをお勧めいたします。
4.まとめ
債務整理を行う場合、ご自身の状況に合わせた方法を、各手続きのメリット・デメリットを比較したうえで適切に選択することが大切です。
どの債務整理手続きを利用するのが良いかについては、一度弁護士までご相談ください