頸椎損傷のメカニズムの説明
1.首に加わる外力について。
自動車で衝突したときに首に加わる外力は,首に加わる衝撃力を考える場合,次の4つが重要な因子となる。
①衝突時の車の進行方向
②衝突時のスピード
③搭乗者の衝突時の姿勢
④衝突が搭乗者の意識下に生じたものか,無意識下に生じたものであるか。
すなわち,遅いスピードで衝突しても不意の事故であれば首の筋肉を収縮させて頸椎を防御することはできない。また,追突事故であっても搭乗者が振り向いたときに発生したものであれば,通常の追突とは違った方向で首に衝撃がおよぶことになる。
2.首の可動域を超える4つの運動
衝突時の衝撃力によって首が受ける損傷の程度をより詳しく把握するためには,外力
によって首がどのような方向へ強制的に動かされたかを知る必要がある。
正常の頸椎が動く範囲(可動域という)を超える場合,次の4つの運動が生じる。
①過屈曲(首を前に倒す運動)
②過伸展(首を後ろに倒す運動)
③過側屈(首を横に倒す運動)
④過旋回(首を右か左に捻るような運動)
3.首への衝撃力を推定する際にもう一つ重要な因子は,上記の過屈曲・過伸展・過側屈・
過回旋の強制的な動きが,どの程度のスピードで生じたかということである。