後遺障害診断書にCRPSの診断名が散見されますので説明いたします。
1.定義
CRPSは交感神経の異常な反射亢進をきそとする疼痛・腫脹・関節硬直・皮膚変色等を主徴とする病態です。
外傷や手術等なんらかの刺激が誘因となって発症する四肢の過剰反応であり,激しい疼痛,腫脹などを伴う血管運動神経由来の症候群です。
2.問題点
小さな外力に外傷でも非常に重篤な症状が出現することがあるので,事故による当該外傷と現症との因果関係の把握が非常に困難である。
発現時期は受傷後数日で発症したものから2年経過したものもあり必ずしも一定でないことや,自然治癒あるいは増悪する可能性の有る事案が多く,適切な認定時期の把握が困難である。
CRPSは精神的側面の素質や事故後治療中の心因的要因が関連している場合があり,その評価をどうするかが問題となる。
3.調査方法
①事故状況。物損の程度の詳細
②初診時の具体的症状,神経学的検査所見
③治療内容および症状経過
④CRPSに該当する内容のものかを判定する際に,以下の徴候が所見されているかどうかを一つの目安とします。
(4主徴)
・疼痛
・腫脹
・関節硬直
・皮膚変色
(その他の徴候)
・血管運動の不安定性
・発汗
・皮膚温度
・骨委縮
・皮膚栄養障害
以上を総合的に検討して判断することになります。